流刑地

作品の感想とか諸々、ネタバレありです。

2021-01-01から1年間の記事一覧

秋の気配のアルペジオ

テカテカと照らす太陽の熱もいつの間にか雨が集中しているうちに、何処かへ消えた。 アスファルトで土に還れなくなったセミの亡骸を踏み潰してしまった夜、新天地での秋を感じていた。新しい土地に来て2ヶ月が経つ。 相変わらずカーナビもなければろくに外出…

Wonder Palette

生まれた街が嫌いだった。 昔から良い思い出がなかったから。 上京した時は踏み潰すような気持ちで故郷を出た。 戻ってくることになって、あぁ結局なにも自分は変わってないんだって思い知らされた。 そしてまたこの街から旅立とうとしている。 車から眺める…

昔の話

記憶とは不思議なもので、水面下に沈んだ思い出がフワッと水面上に浮かんだりする。 昔、MMORPGをやっていた。ラグナロクオンラインだ。その時入ってたギルドのことをなんとなく思い出した。 その時のマスターが絵が上手くて、その人にあたりのとり方とか、…

クラムボン

少しずつ春の足音が聞こえてきた。 2月が終わると淡路島の水仙を今年もみれなかったのかと小さな後悔をする。 昨日みた夢を思い出せないような後悔。楽しいと思えることが減った。コロナという病は現実を少しずつ不便にしていった。 内臓が重く感じる。 その…

トップをねらえ!

あ、そういえばみてねえや。 ぐらいに軽い気持ちでみた。軽い気持ちでみていいあれじゃなかった。 1話はどこかでみたことがあるようなパロディー色が強く、とっつきやすい造りになっている。 が、4話あたりから流れが大きく変わってくる。5話の合体シーンや…

後ろの正面

アニメが好きだ。 子供の頃からずっと。 大学生の頃なんかは現行の深夜アニメに加えて、少し昔の深夜アニメにも手を出していた。今でもアニメは好きだ。 でも最新の深夜アニメをみることはなくなって、より過去のアニメをみている。 2000年代初期あたりの深…

エピローグ ~親しき仲間へ~

どん底にいる感覚に陥っている。 思い浮かぶ情景は雨である。 ただその自分のどん底の程度なんてたかが知れたもので、まだまだ沈んでいく余地があるのだ。コロナの長期化に伴って人類の余裕みたいなもの は確実になくなった。 ただそのなくなった規模が大き…

境界線上の

生きてるのか死んでいるのか。 辛いのか辛くないのか。 そう聞かれればわからないと答える。 楽しいと思えてたことがつまらなくなって、空白みたいな休日が増えた。 空の高さを気にすることが減った。 白い息を吐いてやっと寒さに気がついた。 熱いものを飲…

降らない雪

冬といっても私の地域では雪は滅多に降らない。降っても翌日には泥と合わさってぐちゃぐちゃになる程度しか降らない。 雪が降る冬というのは素敵な思い出ができるものなんだろうなと夢想している。それは良し悪し関係なく。 だから私の冬はどこまでも寒いだ…

君の話

君の話 (早川書房)作者:三秋 縋発売日: 2018/07/31メディア: Kindle版「君は君の不幸の中で幸福なのだ」というフランツ・カフカに宛てた友人の手紙の中に書かれていたフレーズを三秋氏はインタビューで引用していたけれど、 スターティングオーバー、三日間…