流刑地

作品の感想とか諸々、ネタバレありです。

後ろの正面

アニメが好きだ。
子供の頃からずっと。
大学生の頃なんかは現行の深夜アニメに加えて、少し昔の深夜アニメにも手を出していた。

今でもアニメは好きだ。
でも最新の深夜アニメをみることはなくなって、より過去のアニメをみている。
2000年代初期あたりの深夜アニメなんかは、そもそもオリジナルが多く、ストーリーも大人びたものが多く、試行錯誤しながらやりたいことをやってる感じがして、多様性を感じる。

現行のアニメが面白いかそうでないか、それは主観でみれば面白くない。ただそれは私がターゲット層に入ってないからにすぎない話だ。
時代によって流行が変わっていくのは悪いことではない。
少し00年代の深夜アニメと近年の深夜アニメを比較してみる。

絵的な部分
近年は色彩の豊かさやエフェクト技術の向上、絵的な表現力は確実に向上している。
作画崩壊というワードが広まってから、平均的にレベルがあがったように思う。

それではストーリーはどうか。
00年代のアニメの傾向として、主人公の成長物語であることが多い。序盤〜中盤を導入、キャラの掘り下げをして、中盤〜終盤でシリアスパートに入り主人公が問題に直面する。そしてそれを解決して、物語は私達の手から旅立っていく。ストーリーあってのキャラクター。ある意味ドラマのような作りだった。

近年の傾向としては、娯楽性が高くなった。というよりも、物語よりキャラクターにウェイトをかけるようになっている。数話に渡って思い悩むシリアスパートがある作品の方が少ない。全部観終わった後でも私達の傍に未だ物語が居残るようなものが多い。

物語が旅立っていくか居残るかと表現した。
オリジナルが多かった00年代では、それで物語が完結していたが、近年ではメディアミックスが主である。なので話の続きがまだあるようなどうとでもなるような未完で終わるものが多い。ある意味漫画やラノベのプロモーションみたいな立ち位置をアニメがとっている。
結果、近年のアニメは終わっても作品が続いてたりするので別段寂しくもない。

あとは娯楽であるアニメに重たい局面を持つことが視聴者が嫌いだしたのも大きいのだろう。言わんとすることもわかるけれど、逆にストレスフリー過ぎて牧歌的な毒のないアニメが増えたなぁとは思う。
その点が私がターゲット層にいないと考えるところで、別に近年のアニメが悪いわけではない。

だからアニメと一括にしたって同じ視点で昔と今を評価するのは危険だと思っている。
もはや構造が異なってきているのである。
それは産業として正しい変化だったのかもしれない。(大々的なメディアミックス、劇場アニメ前提等)
しかし、このまま進んでいくと文化としては痩せ細っていくのではないかと個人的に憂いているのも事実である。
現実の恨み辛みを場当たり的に捻りもなく、アニメないしは小説ににぶつけられているような現状はあまり好ましいと思えない。