流刑地

作品の感想とか諸々、ネタバレありです。

君と彼女と彼女の恋

はじめてギャルゲーやった時、一人のヒロインのルートを終えて、疑問に思ったことがある。
さっき愛を誓ったヒロインとは別のヒロインと恋愛するの...?って
わりと感情移入してしまうタイプなので、多少引っかかるところで、だからベタな恋愛ゲームはやらない理由の一つである。

そんな胸中で現れたのが『君と彼女と彼女の恋』だった。
今回で2回目のプレイになる。
例えばヒロインが主人公に選ばれなかったら
例えば永遠を誓ったヒロインがその記憶を持ったまま、別ルートで主人公が別のヒロインと恋愛しているのを見ていたら。
色々な角度からルート管理のギャルゲーに対して、改めて考えさせられるのが今作。
となるとメタな視点も求めてくる。
キャラクターがプレイヤー自身に話しかけてくるわけだ。

曽根美雪は主人公と永遠の愛を誓って彼女のルートはエンディングを迎え、当然プレイヤーはもう一人のヒロインのアオイも攻略する。
結果、美雪はゲームの主人公を幽閉し、エンディングのない二人だけの世界を作って閉じこもる。
そこから中々出してくれないが当然である。
プレイヤーは美雪の永遠の愛を裏切ったからだ。
小ネタだが、その世界から脱出するコードを打ち込む時に諦めると、この世界に残ってくれてありがとうと泣きながら言われる。

選択肢を選ぶこと、それは起こる事象を選ぶことと捨てることを同時に孕む。もしあの時別の選択をしていたらというifを見ることができるのがゲームの良さである。
それでストーリーが鮮やかになることだってある。
でも同時に誰かの思いが叶わなかったことになる。
選択肢を全部選んで、一番良い選択に辿り着く、トゥルーエンドに辿り着くっていうのはそういうことだ。
あの時は選んだあの娘が、トゥルーエンドに選ばれなかったヒロインが、主人公と自分ではない別のヒロインがくっついているのを祝福している。
全ルートを選ぶのってそういうことでもある。
どんなに素晴らしいトゥルーエンドに辿り着いても。
そんなに深く考える必要はない。これはゲームだ創作物だ。でも捨てヒロインなんて言葉、ととのをやっても使えますか?

ともあれ、最後の2択を真剣に悩めた人間がこのゲームに向いてる人だと思います。

ちなみに美雪の記述が多いのはそういうことです。